陶房 青 |
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「Von Menschen und Toepfen(人と陶器)」
ein Blog von Mirjam Rickert (ミリアム リカート)
11/1/23 第二回 始めまして。まず自己紹介をしたいと思います。
先週、中尾山の私の最初の印象をご紹介しました。その中で皆さんには吉村さんについて知って頂けたことと思います。
今日は、まず自己紹介と、私がなぜ日本に来ているのか、そして1年間のブログのテーマを少しご説明したいと思います。 私の名前はMirjam Rickert (ミリアム・リカート)です。お世辞で若いと言われますが、実は27歳で、ドイツ出身です。ドイツではまずエッセンのマルガリーテホーエ陶芸工房で修業をし、その後ハレのブルグ・ギープヘンシュタイン
美術大学の陶磁器・ガラスデザイン学科を卒業しました。
大学在学中には有田に6ヶ月間留学し、とても有意義な時間を過ごしましたが、この地域の秘密を理解するには半年は短かすぎました。ここ有田は、世界有数の焼き物の町で、朝鮮陶工・李参平が17世紀ごろ日本の磁石を使い最初の磁器の工房を創設したと伝えられています。
今日、有田-波佐見地区には200以上の窯元があり、日本最大の陶磁器生産地です。伝統的な方法でこの地域独特の優れた製品を製造する手工業工房のほかに、工業生産とモダンなプロダクトデザインに特化した窯元があります。多くの窯元では、手仕事と工業生産を上手い具合に組み合わせています。このコンビネーションにこそ、この地域の大きなポテンシャルが隠されているのではないかと、ドイツ人陶芸家として私は興味を持ち、有田へと再びやってきました。もちろん、陶磁器、絵付けの伝統的な手仕事の技術もより深く学び、自分の能力を伸ばしていきたいとも思っています。2010年10月から、DAAD(ドイツ学術交流会)の奨学金を得て、窯業大学校に在学しています。月曜から金曜の朝9時から夕方5時までろくろ台の前に座り、飯碗、湯飲み、お皿などの陶磁器作りを学んでいます。
週末は授業がないので、毎週日曜日に中尾山へ向かい、陶房青で陶磁器のパターンを考えています。前回のブログでもお話したように、吉村さんが工房の使用を許してくださったことは、とても幸運なことだと思っています。設備の整った工房で、材料を自由に使わせて頂けるだけでなく、インスピレーションが刺激されるこの場の雰囲気の中、たくさんの素敵な食器に囲まれていると、新しいアイデアがどんどんわき上がってくるのです。
2011年は、ウサギのように耳を大きくし、この地域のことについて、またここの陶磁器や人々について知り、私の印象を読者の皆様と分かち合えればと考えています。ドイツ人の目を通して見ることで、きっと日本の方々にとっても新しく興味深いものをお伝えできるのではないかと思い、ドイツ語と日本語で書くことにしました。
吉村さんのおかげで、中尾山の陶房青は私のフィールドワークの場のひとつとなりました。ここは、さきほどご紹介した手仕事と工業生産の組み合わせという点でとても良い場所です。ここで作られている食器はモダンでありながら伝統的で、ここで働く人たちは手工業を熟知し、形と模様に対する特別な感覚を持っているように感じられました。読者の皆さんには、この工房の印象をお伝えするとともに、ここで働く人たちに1年間密着し、少しづつご紹介していきたいと思います。
さらに陶磁器の歴史についても触れ、陶磁器制作の表現方法や人々の好みに色濃く表れているアジアとヨーロッパ相互間の影響について、何か手がかりをつかめればと思っています。何と言ってもヨーロッパの陶磁器はアジアのお手本なしには考えられないものなのです。その中でも、中尾山の歴史は特に興味深いものです。昔、この山間の町は外部から隔離された場所で、ヨーロッパの陶磁器工場が貴族の為に器を作っていたのと同じように大名のためだけに作られたところでした。
それから、食文化についても触れていきます。陶磁器は料理を盛るもので、料理とは切り離せないものです。食事、レストラン、料理、新しいレシピの開発も私の仕事の一つです。
どれほど世界の食文化が混ざりあっているかは皆さんご存じのことでしょう。日本はレストランでピザもパスタも出てきますし、ドイツではスシバーがそこら中に点在しています。今後、食文化はどうなって行くのでしょうか?
強まる食文化の国際化に直面して、様々な文化において機能的で美しい器、つまりはアジアでもヨーロッパでも使うことができ、両方の文化のかたちをつなぎ合わせるような器というものに興味があります。典型的なドイツ料理であるザワークラウトに関する記事と、ザワークラウト用の器は現在準備中です。
このブログを読んでいるのが私の母だけでないといいなと思っていますので、コメント、ご質問、ご批判などありましたらいつでもどうぞご連絡ください。1年間続ける励みにしたいと思います。
次回はザワークラウトのレシピと、私がなぜ陶房青のファンとなったかについてお送りします。
それではまた。
ミリアム
(翻訳:末廣円)
Author:陶房 青
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